profile

1972年生まれ。NTTにて法人営業やIR活動に従事した後、IT系コンサルティングファームを経て、2002年にアリエル・ネットワークに入社。情報共有ソフトウェアの企画や、ブログを活用したマーケティング活動に従事。2006年アジャイルメディア・ネットワーク設立にあたりブロガーの一人として運営に参画。2009年2月に代表取締役に就任。個人でも「tokuriki.com」や「ワークスタイル・メモ」等の複数のブログを運営するほか、最新のネットマーケティングに関する複数の執筆・講演活動も多数。

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NAVERは「検索」と言わなくてもいいんじゃないか

NAVERのサービスの方向性とか、「探しあう検索」というコンセプトについては、どのように思われますか?

現在NAVERにはいろいろなサービスがありますが、僕はNAVERのコンセプトとかターゲットは、1個まず決めてそれに集中投下でもいいのではないかと思ったりします。やはりNAVERが何かって聞かれたときに、誰でも答えられたほうがいいと思うんですよ。Googleだったら検索、OKWaveだとQ&Aって答えられるじゃないですか。NAVERの特徴については、僕のようなネット業界の人間には今の状態で全然分かると思うんですけど。日本で意味のあるレベルまで行こうと思ったら、一般のOLさんや、ITにあまり詳しくないサラリーマンの人が「NAVERって●●だよね」って言えるレベルまで持っていく必要があると思うんです。それは別に「NAVER」じゃなくて「NAVER●●」でもいいと思うんですけど、それをまずは1つに絞ってもいいんじゃないかなと思います。

特にNAVERまとめを使ってみた感想として、「このサービスは何のために使うのか?」っていうのが複数ありすぎる感じがしました。ウィキペディアは「あるキーワードに対して正しいであろう情報をみんなで作るもの」じゃないですか、要は「辞書をオンラインで作りましょう」という。それは1つのキーワードに対して1つページがあって、それを完璧にしましょうっていう運動だと思います。対してNAVERまとめは、むしろMahalo的な、キーワードではなくて質問(お題)に対する答え(まとめ)を作りましょう、みたいな感じだと思うんです。ただ、一方でNAVERまとめの実際の使い方を見ていると、自分のリストを簡単に作れるっていう意味で使っている人もたくさんいて、それはそれでアリだなと思ったりもするんですよね。僕はブログを書くときにリストを作るのが結構面倒で、たとえば「●●に関する7つの法則」って書いたときに、それを綺麗に見せるのが難しかったり、流用してもらおうと思ったときに簡単にコピペする手段がなかったりとか悩むこともあります。例えばNAVERまとめを、そういうときに活用できるミドルレイヤーサービスとして打ち出すのも全然アリだなと思いますね。一方で、昨日になってはじめて知ったんですが、NAVERまとめ上でディスカッション(注:NAVERまとめ「フリートーク」機能)も可能じゃないですか。で、よくよく見たら一番盛り上がってるのがそこだったりして、まぁ、あれはあれでアリだなと思います。

ただ、そうやってサービスの機能が複数あると、色々な属性の人が集まってくるので結果的にNAVERまとめが雑多になっちゃって、そうするとその瞬間に使っている人と後から検索した人のニーズがズレてきちゃうと思うんですよね。ウィキペディアの場合にはみんなが辞書だと思って使うから、それに向かって完璧にしようぜっていう無言の圧力が働いていて、それで今の地位まで来ることができたと思うんですよ。そういう意味では将来的には(一つのサービスが提供する役割は)分岐していて全然良いんですけど、今のNAVERだと検索というより、ツールとしていろんな目的のために使ってもらう文脈のほうが強いのかなという印象があります。それはそれで全然アリですが、もうちょっと絞ったほうが、機能的には凄いよくできているので、クチコミで伝播していくときも分かりやすく伝播するのかもしれないなぁって思ったりしますね。

今後よりNAVERを活性化させていくために改善するべき点とか追加すべき機能などはありますか?特に、ブロガーに使ってもらえるようにするには、といった観点でお答えください。

どのサービスを目指すかによって全然変わってきちゃうんですが、今のNAVERのマーケティングのアプローチは好きですね。おまとめマンが頑張って検索して見つけてあげる、みたいな。こういうアプローチって、おそらくインターネットの足りないところで、今後伸ばしていかれると良いと思います。

個人的には、NAVERの今後のアプローチとしては2つあると思います。1つは先ほど申し上げたように、NAVERとはどういうサービスかっていうのを1個決めて、それに注力する。別のブランドにしてもいいかもしれないですが、それをとにかくみんなの頭に植え付けるっていうのが本質なんじゃないかと思います。

もう1つは、ファンの人たちを増やすことによって、その人たちが自然とNAVERを使っていって、さらに、ファンの人たちが使っていることが自然と表明される仕組みを作ること。いわゆる1個のサイト型の問題点っていうのは、そのサイトに来てもらわないと分からないところだと思うんですよ。これはWeb2.0なのかどうか分からないですが、一人一人のファンが増える度に、その人たちの行動導線に入っていくと、その人たちが使い続ければ使い続けるほど話題になるみたいなことがインターネットではありえると思っています。たとえばAmazonのアソシエイト・プログラムみたいに、本のレビューをブログで書いて、最後に本の画像を挿入したいからAmazonのアソシエイト・プログラムを利用して画像を貼り付ける、みたいな。そうするとブログを書いている人たちが皆Amazonの宣伝員になるじゃないですか。

使ってくれる人がいるサービスの場合には、使っている人自身が知らないうちにNAVERの宣伝担当になっている仕組みっていうのが、全然あり得ると思うので、そういう仕組みはもっとあっていいと思うんですよね。これだけ盛り上がってくれる人がいるコミュニティが作られているので、負担をかけずに協力してもらう仕組みはNAVERの場合は作りやすいんじゃないかなぁとは見てて思いますね。

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NAVERのコミュニケーション活動をついてはいかがでしょうか?

「正しい」っていうのを私がいうのも変な話ですが、非常にユニークなポジションを取られていると思います。佐々木俊尚さんも本で散々書いている話なんですけど、「検索する」って実はすごいハードルが高い行為だと思うんですよね。本当なら、人間は検索する前に教えてほしいはずで、これだけ色々な情報をネット上に提供しているわけですから、そろそろそういうことができるようになってきていいはずだと思うんですよ。たとえばAmazonで定期刊行物を定期的に買っているんだったら、最新刊が発売される前に「買ったほうがいいですよ」って当然教えるべきでしょうし、そういった定期的な行為ってほかにも色々あると思うんですよね。そういう意味で日本人が思っている検索サイトの「検索」っていうのは、極端な話、Yahoo!とかGoogleとかMicrosoftに任せてしまって、違う意味での「検索」、例えば佐々木俊尚さんが言っているレコメンドとか推薦的なもの、これまたレコメンドとか推薦って一言で言っちゃうと人によってはちょっと印象が変わっちゃうんですけど、例えばエージェント的なものとかちょっと気の利いているものとかパーソナライズされているものみたいなところが、実はこれから一番面白いんじゃないかなぁと思ったりします。

そう言う意味で、NAVERに関しては「検索」って言わなくていいんじゃないかなって思いますね。メディア向けには検索って言った方がいいと思うんですけど、利用者には言わなくてもいいんじゃないかなと。メディア向けには「検索のシェア争い」みたいな形で面白おかしく取り上げられるので、「検索」サービスと強調されるのは良いと思うんですが、利用者からすると実は複数のサービスが併用されていたりする世界じゃないですか。

もちろん純粋な「検索」という意味だと厳しい戦いがあるんでしょうけど、実際には製品のレビューを探すときにはAmazonに行ったり価格.comに行ったりするわけで、本当に「NAVERなら●●」っていう風になってしまえば、そのエリアだけは取れると思うんですよね。それは別にGoogleやYahoo!が必死になって取りにこないエリアであるってことは全然あり得ると思うので、そういうところをNAVERの場合は、@cosmeのように(化粧品に特化した)縦のレイヤーでやるんじゃなくて、横のレイヤーでやれそうな気がしますね。「●●で困ったときに探すのはNAVER」みたいな。NAVERが韓国で成功したサービスにOKWaveと一緒で、Q&Aという文脈で「知りたいことがネット上に無かったらNAVERに聞いてみよう」みたいなパターンもあったと聞いていますが、これも横のレイヤーの話ですよね。

あと、違うレイヤーとして、NAVERまとめのリストとか投票みたいなサービスは可能性がある気がしますね。僕が思っていたのは、極端な話、NAVER=とにかくランキングがいっぱいあるサイトみたいな。日本人はランキングが大好きですから、ランキングといえばNAVERみたいな感じで、とにかくすべてのランキングがあって、しかもそのランキングも皆が参加してどんどんリアルタイムで変わっていくとか、過去のランキングを時系列に比較できるとか…妄想をすごい掻き立てられる素材が揃っているサービスだと思うんです。私もWebサービスは大好きなんで、そういう意味でNAVERはすごい刺激があるサービスだと思います。その分メッセージをまとめるのは大変だろうなぁと思いますけど。

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リアルタイム検索については懐疑的。一言つぶやき的なものは、まとめてはじめて意味がある

最後に、Twitterのようなリアルタイムのメディアと、ブログのようなアーカイブのメディアと大きく2つあって、リアルタイムのメディアがどんどん活性化しているという段階で、検索エンジンとしては当然両方の情報を扱わなければいけないんですけれども、現状その観点から見て検索サービスは対応できていますでしょうか?

僕はリアルタイム検索って本当にどれくらい必要なのかな?って実はちょっと斜めに見ている人間でして、たとえばTwitterの発言が今この瞬間で見ることができて、それが実際の情報収集的に役に立つかっていうと、そうでもないじゃないですか。地震があったよっていう情報をみんなが書いていて、じゃあ全部読むのかって言ったら読まないですよね。そのボリュームがあるのは意味があると思うんですけど。

そういう意味でリアルタイム検索の検索結果というのは、ちょっと加工されるべきものだと思っているんですね。たとえば、沢尻エリカのニュースに対してみんながリアクションしていて、こういう風なリアクションでしたってまとめたものには、ある意味第三者が見る記事的な意味があると思うんですけど、1個の発言を見て意味がある人って、その友達の人ぐらいだと思うんで、ちょっと文脈違うと思うんですよね。

今のGoogleの検索っていうのは、「第三者が見て意味のあるもの」を見つける検索じゃないですか。そういうところにはリアルタイムの検索って、実はゴミが増えるだけなので検索結果から全部外すぐらいでも実はアリなんじゃないかって思うんですね。で、Twitter的なものはボリュームやまとめた発言一覧が見られるとか、そういうパターンはあり得るかなと思うんですよね。それは今回のおまとめマンのキャンペーンを見ていても思ったんですけど、おまとめマンが1問1答で答えてるのが一個の掲示板になっているのは面白いんですけど、コンテンツとしては再利用しづらいじゃないですか。多分そこのハードルはすごいあると思うんですよね。

一言つぶやき的なものは、まとめてはじめて意味があると思うんです。そこは今2ちゃんねるで結構うまくコミュニティができあがっているので、参考になると思うんですよ。2ちゃんねるの掲示板の面白いところだけを職人さんが抜き出してブログに転載して、そこに人がさらに集まるみたいな。そういうものは必要だと思いますね。多分それは「検索」とは呼ばれないと思うんですけど、Twitterで話題になった出来事を切り取ってボリュームとか主な発言とかをまとめて、その瞬間を見ていない人でも見てわかるように加工してしまうみたいなのは、結構あり得るかもしれない。ヒウィッヒヒー(注:『Twitter』の英字表記を日本語にすると「ヒウィッヒヒー」というカタカナに見えることから、歌手の広瀬香美さんが命名)がどういう風に生まれたかとか、なにかの議論を勝間和代さんが投げたときにこういう議論があったとか、あとから読むと面白い、みたいなものは可能性が結構あると思うんですよね。

ただまぁ、それはもう「検索」じゃなくて「編集」って言ったほうがいい気がしますよね。「検索」って言うと、やはりGoogleのイメージが強くて、何か情報を探しているから探しにいく、みたいなイメージなので。頑張らなくても情報が得られるレイヤーのほうが今後は重要だと思うんですね。記者が記事を書いている間に、実はTwitterで話題になっていたことを自動でまとめたものの方が分かりやすかった、みたいな編集の可能性はあると思います。たとえば、「新型インフルエンザがどこで流行っているのか?」とか「酒井法子がどこにいるのか?」とか「ゲリラ雷雨がどこで今降っているのか?」みたいな情報が、みんなの力でそこにどんどん集まってくる、みたいな仕組みがあると面白いかなぁと思いますね。

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徳力さんからの宿題

  1. アクティブユーザーの「意見や要望を吸い上げる場所・仕組み」を用意する
  2. ブロガーが、自分の書いたブログ記事をリスト化したり投票できるような、「ブロガーが使いたくなるブログパーツ」を作る

いただいたご意見は、NAVERのサービス向上のための貴重なご意見として、NAVERスタッフが
検討・改善していきます。

徳力さんのおすすめまとめ

  • SLAM DUNKの名場面/名台詞。 発言集

    SLAM DUNK第一話からのファンとして。こういうのって、一人の人間が思い出すのはすごい難しいんですが、こうやってみんなであつめると、記憶が蘇ってきますよね

  • WISH2009のプレゼンター別プレゼン動画まとめ 動画集

    本当は公式サイトでやらなければいけない仕事を、こういうところでまとめて頂いているのが実にありがたいです。NAVERまとめの一つの可能性を感じさせる例ではないかと思います

  • ad:tech2009に関するまとめ リンク集

    上記と同じですが、一人一人で探すと結構面倒な作業を、こうやって複数のメンバーでまとめることができるのは面白いと思います。最終的に投票で順番が決まるのもNAVERまとめならではですね

  • 1問1答まとめ フリートーク

    量の質問に対して、必死におまとめマンが回答していく姿が実に印象的です。NAVERさんのNAVERまとめへの本気度が伝わってくる(?)一品ではないかと思います

徳力さんのマイまとめ

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ADVISORY BOARD アドバイザリーボード

業界内外の著名人・ジャーナリストなど専門家の方々からNAVERのサービス・運営について率直なご意見・アドバイスをいただくコーナーです。

  • Episode 06黒須正明2010.01.20
  • Episode 05林信行2009.12.16
  • Episode 04岡本真2009.11.18
  • Episode 03片桐孝憲2009.11.04
  • Episode 02徳力基彦2009.10.21
  • Episode 01ひろゆき2009.09.16
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