





1973年生まれ。1999年、ヤフー株式会社入社。
Webプロデューサーとして、Yahoo!知恵袋やYahoo!検索ランキング等の企画・設計・運用に従事。 2009年7月、ヤフー株式会社を退社。2009年9月、アカデミック・リソース・ガイド株式会社を設立。インターネットの学術利用をテーマにしたメールマガジンACADEMIC RESOURCE GUIDE編集長を務めるかたわら、ソーシャル系ウェブサービスの企画・設計に関するコンサルティングや、大学や図書館のウェブ活用に関わる講義、講演、コンサルティング、ウェブ企業と大学の産学連携に携わっている。
京都大学情報学研究科非常勤研究員、国立情報学研究所産学連携研究員。




私の場合、今のところ一番多いのは、約5,000人が読んでいるメールマガジンを発行しているので、そこに書くことですね。5,000人が読んでいると誰かしらレスポンスしてくれるので、結構役に立つアドバイスが返ってきます。正直、私としては、はてなブックマークでコメントが付いたりブログでコメントが付くよりもはるかに助かりますね。メールというコミュニケーションスタイルになると、公開ではないので結構突っ込んだ話が出てくるので、それが私としては一番の情報収集になっています。発信することによって収集するというスタイルです。
それ以外の日常的なところで言うと、とにかく気になったこと、目にとまったことは携帯でとりあえずメモをしたり写真を撮っておいて片っ端からGmailにストックをしておくことです。とにかく片っ端からストックして、後でメールアーカイブを自分の気づいたことリストのようにして使うという情報収集。これは「答えを出したい」というよりは「答えをいずれ出したい自分の疑問符をつけたもの」を収集しておくという感じですかね。
そうなんですよね。最近だとライフログという風に言われていますが、あの種のサービスの限界も感じます。再編集する・再整理する、というプロセスをどれだけ自動化できるかということが1つの鍵ではないかと思います。Yahoo! JAPANで10年間ほど仕事をする中で、コンピュータサイエンスの先生方と付き合うようになって、コンピュータサイエンスを応用すればかなり色々な自動化ができるんだということを知るようになりました。でも、今のインターネットサービスって、全然自動化できていないんですよ。
例えば、ブックマークをする時のタグ提案って誰しもが思うところなのに、まともなタグ提案機能を持っているサービスはありませんよね。せいぜい一番行き着いているのは検索エンジンに入っているキーワードの推薦でしょうけど、できてあの程度ですからね。一歩進んで、例えばブックマークをした30のURLがあるならば、それをシステム側で自動的に分類の枠組みを提案してくれるという機能があってもいいのにと思います。ただ、それは根本的なところで言うと、まさにNAVERが取り組んでいるところだと思うんですが、「まとめる」という行為をどう考えるかだと思うんですね。時系列的に放り込んでいくっていうのは人間の行動・生活パターン上、当然アリなんですけど、その時系列の流れに「まとめる」という行為をどうやって組み込んでいくのかというところが、多分次の課題なのだろうと思いますね。
ネット上の情報自体がTwitterに代表されるように断片化する方向にどんどん進んでいます。Googleブックスなど良い例ですが、1冊の本という塊ではなく、1ページの1行というところまで情報が断片化してくる中で、今度は時系列で断片化した情報を、どうその人にとって都合良くまとめるか、そしてその人にとって都合が良いだけではない情報、反対あるいは別の意見をレコメンドするというところまで行かないと、結局最後は人に依存しますからね。色々な講演とか研修会でこの手のソーシャルサービスを薦めても、本当にみんなが使うところまでいかないのは、その壁なんだろうと思いますね。
「検索サービス」という言葉をどれくらいまでとらえるかですけれども、意味を広めに考えると、まだ何もまだできていないという印象が強いですね。
その人の要求である検索ワードに対して、「ランキング的にNo.1のものはこれですよ」と出すことは、単なるアシストであって、検索している人が求めている問題解決では全然無いですよね。解決のヒントを散りばめるということしかできていない状況で満足するべきではないし、そこで満足していると、いくら世の中の人が検索サービスをたくさん使うようになったとは言っても、ちょっとショボイですよね。我々が10年ちょっと前に抱いた夢ってこの程度で良かったっけ?とは痛切に思います。

一番の衝撃だったことは、やっぱり韓国でのNAVER.comの成功ですよね。私がYahoo! JAPANで働いていた初期の頃、Yahoo! KOREAはYahoo! JAPAN以上に成功していた会社だったと思うのですけど、NAVER.comが「知識.iN」というQ&Aサービスを前面に押し出すという形で急速にシェアを伸ばし、逆転してしまったときの衝撃は大きかったですね。
それと私自身がQ&Aというサービスに関心を持ったのはやはり、そのまま日常の言葉で質問すればいいという逆転の発想であったためですね。検索キーワードを入れることは非常に高度なテクニックですよね。検索サービスは何か自分の頭の中にある曖昧模糊(あいまいもこ)とした疑問の中からキーになる言葉を見つけださなければいけないわけです。それは、極めて難しいことで、抽象化する・概念化するという行為が必要になります。それは大げさに言えば一定の知的訓練を受けていないとできないですよ。そうなると結局のところ、検索サービスは使い手を選んでしまう。ならば、曖昧模糊とした言葉をそのまま書いてもらえばそれでいいという逆転的発想に魅かれたんですね。
私自身、Yahoo! JAPANの10年間のキャリアのうち最初の5年くらいが検索エンジン周りで、その後の5年くらいがYahoo!知恵袋ですけれど、自分としてもこれは大きな考え方の転換でした。
Yahoo!知恵袋の企画スタート当時、よく考えたのが、「人に聞くこと」は実は極めて合理的な行為ではないかということです。日常の生活で我々はよく面倒なことは人に聞いて解決していますよね。男性・女性という意味で言ったら、一般に女性はすぐ聞いて解決してますよ。分からないことはすぐに人に聞く。対して男性は、私自身そうですが、得てして情報収集のテクニックを考えてしまう。それは一見、知的なようですが、実はあまり合理的な行動ではなく、ある意味男性的な幼稚さの現れのようにも思います。
人に聞いて解決するということ自体の価値をもっと高めていった方が、文化的にもいいのではないかなと思いますね。少し話が大きくなりますが文化論として、日本のように質問をする文化が無い国においてはこういうサービスを流行らせる必要があるなと感じました。日本は「出る杭は打たれる」の国ですから、質問をすることによって目立ってしまうことを嫌います。質問するだけで「何、あいつ!」となり兼ねない国においてこそ、こういうサービスを流行らせることで、わからないことは恥ずかしがらず、馬鹿だと思われるかもしれないことを恐れずに「聞く」、という価値を高めていきたいと思ったのです。「聞くは一時の恥」ということわざを文化として社会に訴えていきたいし、Yahoo!知恵袋をしていた時に思ったことは単なるWebサービスとして成功させるということでは志が低くて、そのサービスを世の中に生み出すことによって社会や文化、風俗を変えていくような力にならなければいけないということですね。


当時、私が一番こだわったことは、「質問者」にポイントを発行するというところです。人力検索はてなのように質問する人がポイントをあげるという考え方は、それはそれでよく分かります。しかし、それでは回答者優位になりすぎて質問する人が萎縮してしまうだろうとも思います。Yahoo!知恵袋でやりたかったことは、たくさんの人が気になったことをどんなくだらないことでもいいので質問をするということです。人がその瞬間心に抱いたことをそのままにせずに、いわば、言語化するということをお手伝いすると考えると、質問する人にとにかくポイントを出す、質問してくれた勇気に対して感謝します、というニュアンスとして、質問すれば質問者に必ずポイントがつくということに凄くこだわりましたし、ここによって差別化が図れるのではないかと非常に感じましたね。
あと、当初から私が抱いていたのは「いい回答の存在を疑え」という考えですね。哲学論風になってしまいますが、何が正しいかということは、ハッキリ言って相対的なものだと思っています。もちろん、「π(パイ)って何ですか?」という質問に対しては、明確な答えが出せますけれども、人が抱くちょっと知りたいことの8~9割は、私の実感としては答えはないですよ。だからQ&Aサービスにおいても、正しい回答があるという幻想からまず離れようと思ったのです。
ですから回答の品質よりも質問者が一番傷つくことは何かを考えました。せっかく勇気を出して手を挙げて発言をしたのに誰もレスポンスをしない、無視されてしまうことの方が傷つくのではないかと考えました。一回でもそんな体験を味わったら二度とそのサービスを使わないでしょうし、それはQ&Aに限ってのことではないと思います。ソーシャルメディアのサービス設計において一番考えなければいけないことは、実はそこじゃないでしょうか。そういう点ではまだまだ色々なサービスがその部分の設計に関して真剣に考えていないようにも思います。セキュリティー的な意味で安心・安全というものを担保していくことは大切ですが、同時にもっとポジティブな面での安心感を設計していく必要を感じます。具体的には、何かのサービスを使い出して新しい世界に踏み込んでみたときに、すぐ「人が寄ってきてくれる」という安心感を設計していかなくてはいけないということですね。たとえば新しいサークルに参加したときに、良くも悪くも世話好きな方がいますよね。すぐ寄って来て話かけてくれる人、飲み会のときにポツーンと一人で立ち尽くしている人間に声をかけてくれる人がいてこそ、そのサークルは成り立つわけです。同じようなことがコミュニティのメカニズムとしてきちんと機能するようなサービス設計をしなければいけないなと思う反面、それにきちんと取り組んでいる会社はまだ非常に少ないのです。我々Webのサービスに関わる者が本当に実現しなければならない安全・安心感は、人を不愉快にさせるような投稿をする人を排除するような負の面だけではなく、そういった正の面の安心感ではないのかといまも思います。
まとめると、1.質問者が質問をしてよかったと思えるようにするためのインセンティブをきちんとつくる、2.質問者の最低限の満足感を満たすために、スルーされない、誰かからのレスポンスが何らかの形である、という2点ですね。




日本のWeb産業の弱さは、企業が日本の大学における研究成果を理解も評価もせず、海外の成功事例にすぐ飛びつくところ

極端に言うとインターネットを今までまともに使っていなかったけど、NAVERまとめがあるからインターネットを使うようになったという掘り起こしをしてほしい

ライトなユーザーとヘビーなユーザーを双方取り込んでいくという相矛盾するところで成功できるかどうかがWebサービスでは重要


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わかる!わかる!そうそう!という場所から、人ぞれぞれだなあと思うところまで。「まとめ」の良さを実感します!
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これは気になる!仕事で各地の図書館に行くことが多いので、自分でも足していこう!
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笑い転げつつ読みました(笑)。こういうネタ的なものも増えるといいなあ。